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高森明勅
2022.12.31 13:44皇統問題

今年最も印象に残った出来事は輝くような敬宮殿下の記者会見

令和4年も暮れようとしている。
今年の印象に残った出来事をいくつか記しておこう。

最も鮮明に記憶に残るのは勿論、3月17日に行われた
敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下がご成年を迎えられた
ことに伴う記者会見だ。
優美で風格があり、しかもユーモアを交え、温かな雰囲気。
まさに「皇女」としての高貴な輝きに満ちておられた。
多くの国民が、ご成長ぶりに目を見張ったのではないか
(12月1日のお誕生日当日に公開された皇居内の
厩舎での映像も素晴らしかった。
馬は相手の人間性に素直に反応するという)。

次に、7月10日が投開票日だった参院選の際に、
少なくない有志が「愛子天皇」の実現を願い、
勇気を奮って候補者たちへの直接アプローチを行った。
選挙後にも当選者への手紙を送る気配りぶり。
この時に尽力された方々に、改めて尊敬と感謝の気持ちを抱く。
これによって直ちに目に見える反応は無くても、
今後の展開に有益な影響をもたらすタネを蒔(ま)
いたことになろう(参院選の投開票日当日に、
地元の皆さんの熱意によって北海道で開催された
ゴー宣道場も、成功だった)。

しかし残念ながら皇位の安定継承に向けて、
政治は1ミリも動かなかった。
その方面の私自身のささやかな努力も、ほとんど徒労だった。
やはり“壁”は厚い、と言わざるを得ない。

だが一方、良識を備え、この最重要(!)な
課題に使命感を持って、それぞれのやり方で
取り組まれている方々の姿に触れることができた。
これは嬉しい(例えば、皇位継承問題への
ご自身なりのコミットとして、敬宮殿下をモデルにした
天照大神の絵を描いて「全国公募水墨画大賞展」に
応募の上、見事に入選されたハンドルネーム
「リカオン」さんの挑戦には、頭が下がる)。

男系限定論者の言い分がいかに非常識で
荒唐無稽であるかを、幅広く「見える」化しようとする、
新しい試みも始まった。これは有効な手法だろう。

私個人のこととしては、亡父の30年目の命日(9月4日)に
わが郷里・倉敷で、私自身が斎主(いつきぬし)を務めて
「三十年祭」を奉仕した。
この時は、シンガポールに嫁いだ長女も帰国し、
それぞれ仕事に多忙な長男・次男も参列した。

「“世間の目”なんて気にするな。
世間にお前の代わりに死んでくれる奴なんて誰もいない。
誰もお前の代わりにお前の人生を生きてくれない。
自分の人生は自分が好きなように生きないと後悔するぞ」

少年期の私にそう教え、
自ら手本を示してくれたのが父だった。

皆さん、どうぞ佳いお年を!

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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